アクアリューム ①

アクアリュ-ム基礎講座 ① 「生物濾過について」

Q 1 :生物濾過って何?
A 1:今回販売店の皆様や一般のマニアの人たちにも良く理解していただきたく生物濾過の知識のおさらいです。皆さんがご存じのように魚は、川、池、海に生存する生物です。その生き物を水槽の様に限られたスペ-スと一定量の水で飼育する訳ですから、本来の生息環境とはまったく異なります。川や池には、雨も降るし、湧き水もあります。風が吹けば波も立ちます。常に新鮮な新しい水が供給されているのです。
しかし、熱帯魚の故郷のブラジル、アマゾン河では、日本と異なり雨期と乾期にわかれます。雨期はほとんど毎日スコ-ルがあり熱帯雨林に新鮮な水が降り注ぎます。逆に乾期はほとんど雨が降らない状況になります。新鮮な水の供給量が減って水温は上昇し、魚達は水の多い場所に移動します。魚の密度は高くなり水質も劣化してきます。しかし、河は流れていますから、その場所に水は少しづつでも供給されています。
そしてある日、東の風と共に雷鳴が聞こえ、バケツの水をひっくり返したような雨が降り注ぎます。乾期が終わり雨期が始まったのです。この時期一斉に魚達は産卵を開始します。水量が増えて魚達は一斉に散らばっていき、急速に魚の密度は低下します。何故なら魚達の密度が高いと産卵した卵や孵化した稚魚は他の魚達の格好の餌となり、食べられてしまうからです。見事な自然の摂理です。
この時の水質条件は、地域条件によりますが、ペ-ハ-が上昇して中性か弱アルカリ質に変化し、水温は低下します。これが産卵衝動の引き金になると考えられています。大量の新しい水が流入するのですから魚達にとっても有害なアンモニアや亜硝酸は極めて低濃度になるのです。そして密林に降り注いだ雨は密林に蓄積された有機物や微量元素も同時に河に送り込んでくるのです。

Q 2:どうしてアンモニアは魚に有害なのか?
A 2:魚を飼育している人達もアンモニアは有害な物質であることは理解しているのですが、ではどうして有害なのかについて理解している人は少ないようです。
 簡単に説明すると、アンモニアは非常に小さな物質であり、水温が高くなるほど活発に動きます。逆に水温が低いと活動は低下します。そして小さな物質ゆえに簡単に魚達のヒレや体を通り抜けていきます。この時に魚の血液の中のヘモグロピン、(酸素を体の細胞に送る役目をする)の活動を阻害するのです。そのために水の中には酸素がたくさん溶け込んでいるにもかかわらず、エラから酸素を取り入れても体の細胞に送り込めずに窒息状態となり、死んでしまうと考えられています。

Q 3 :アンモニアは、どうして発生するのか?
A 3:この魚を飼育していくうえで、厄介なアンモニアはどうして発生するのか?
 これはいくつかのバクテリアが関係します。魚の排泄物、剥がれた粘膜、食べ残したエサが原因なのですが、これを基にしてアンモニアがつくられます。
 魚の排泄物、食べ残しのエサは、水槽飼育では必ず発生し、避けられない事態なのです。自然界では、『絶対水量』が圧倒的量であり、排泄物も水流によって川下に流れていくためにそれほど問題となる濃度にはなりません。
 しかし、水槽飼育では、限られた水量が濾過器を通過しながらグルグルと循環しているだけで、換水しない限り新しい水の補給はないのですから、アンモニアの処理は重要です。

Q 4 :アンモニア、その処理のメカニズム
A 4:単純に考えるとアンモニア濃度が致死量に到達する前に換水すれば良いのですが、一々アンモニア濃度を測定して、その都度換水するのは現実的ではありませんし、何より換水は魚にとって負荷のかかることなのです。
 そのために化学的な処理方法としては活性炭で吸着させたり、イオン樹脂交換などの方法があります。しかしこの方法は、根本的な処理ではなく、一時的にアンモニアを閉じこめる事であり、掃除機でゴミを集めているようなもので、掃除機の中が一杯になれば交換です。時間が経過すれば吸着力が低下し、吸着したものが逆に放出される危険もあります。活性炭の場合は飼育密度が濃いと短命です。そのために現在の飼育システムでは、生物濾過が主流になっています。
 生物濾過とは、バクテリア(細菌類)を利用してアンモニアを別の物質に変換したり、アンモニア自体を生成させなかったりする方法です。かなり複雑な経緯を辿っておこなわれる為に詳しい内容については割愛します。
 一般的には、水槽をセットしてもその日に魚を水槽で泳がせないでエアーレーションしたり濾過器を動かして1週間程してから魚を水槽に入れて下さいと、指導しているお店も多くおられるのですが、これは経験論から出発していると思います。
 水槽をセットしてエア-レ-ションすると空気中から細菌群が水槽に入って増殖していきます。この時にさまざまな細菌群と共に硝化細菌も入って来るのです。  硝化細菌の種は、空気中に普通に存在し、特別な細菌ではないのです。

Q 5:硝化細菌の働きと限界
A 5:硝化細菌とは、簡単に説明するとアンモニアを亜硝酸に変化させ、亜硝酸を硝酸塩に誘導していく働きをもつバクテリアです。
 硝化細菌には好気と嫌気の2種類に大別されます。もともとこのバクテリアは、黒く汚濁した海水域や廃棄物処理場の水溜まりなどをポジションとして有害物質を無害化する働きをしています。
 そして、嫌気のタイプはドブ川のメタンガスが発生しているようなヘドロの中をポジションとして、硝酸塩を窒素に還元するのです。ドブ川自体に溶存酸素が極めて少ないために魚などは住めない死の世界なのですが、このような場所を好む細菌も多いのです。メタンガスを生成するメタン菌、人間に有害な破傷風菌なども、この死の世界の住民です。
 好気タイプの硝化細菌は、アンモニアを亜硝酸に変えます。そのために水は酸性となり、頻繁な換水が必要となるのです。PHが低下していくと魚はエサを食べなくなり、水槽の片隅でじっとしていたり、ひどい場合は、目の白濁や尾ビレや背ビレが溶けたりします。
 このような場合はPH数値を測定すると3~3、5の低い数値が検出される場合がほとんどです。そして多くのマニアはここで失敗を経験するのです。それは、あわてて換水をするために魚がペ-ハ-ショックをおこしてしまい、事態を悪化させてしまうのです。ペ-ハ-ショックをおこさないようにするには、ペ-ハ-の数値の変動を2以内に抑える事がポイントです。そのような場合は、3分の1から3分の2程度を換水して24時間経過してから再度換水するのがペ-ハ-ショックを防止する方法です。
 このように、硝化細菌は、毒性の強いアンモニアを亜硝酸に変換しますが、そのために水質は、酸性となり頻繁な換水が必要となります。その為に海水魚飼育のタンクでは硝化細菌による生物濾過には限界が発生します。
 何故なら海水は弱アルカリ質です。ペ-ハ-の低下は無脊椎生物には致命的な影響が発生するからです。

Q 6:嫌気性細菌と好気性細菌
A 6:硝化細菌の仲間にも好気性細菌と嫌気性細菌と2つのタイプが存在することは理解していただけたと思います。簡単に説明するとバクテリア=細菌は、知られているだけでも膨大な数なのですが、まだよく解っていない方が多いのです。
  なぜなら、人の役に立っている細菌と人に害=病気を起こすものについての研究はかなり進んでいますが、それ以外の細菌については、未知の部分が圧倒的です。
 しかし大雑把に分類すると、細菌は好気と嫌気に分類されます。好気細菌とは、文字どおり酸素のある場所でしか生きられない細菌です。嫌気細菌とは、逆に酸素のある場所では生存ができず、空気に触れると死んでしまう細菌です。水の中でも酸素が溶け込んでいると嫌気細菌は生存できません。そのために嫌気タイプの硝化細菌を水槽内で繁殖させ、硝酸塩を分解させるのは、なかなか簡単な話ではありません。手っ取りばやく換水する方法の方が合理的なように思えます。
 少しでも科学知識のあるアクアリストの皆さんであれば、嫌気バクテリアを好気バクテリアを同じ容器に入れたり(入っていると称する)何百種類ものバクテリアを同一の容器に入れ、しかも液体で常温保存する事など不可能(そんな事が可能ならノ-ベル賞は決まり!)簡単に判断できる事です。
 川や池で水を浄化する事のできるバクテリアも、それは川や池の話であって水槽とはまるで条件が違いすぎます。川や池は底が堆積した土であり、下にガラスが敷いてある訳ではありません。水槽にソイルを敷いて同じ条件を再現するなら、少なくとも20㎝以上ソイルを敷き詰めなくては完全嫌気の実現は不可能でしょう。だいたい水槽にソイルを20㎝も敷き詰めるアクアリストの皆さんなんていないと思います。
 この事を判りすく説明すると、プロ野球の選手をサッカ-のワ-ルドカップに代表として出場させるようなもので、野球は野球選手、サッカ-はサッカ-の選手なのです。活躍する場所がまったく違うのです。

Q 7:全ては水質にある!
A 7:アクアリュウムの現実の問題点とは何か?
具体的にはいくつかの現象が上げられます。

1.購入して家の水槽に移してもすぐに死んでしまう。もしくは病気の発生。
2.水槽のガラス面がすぐにコケだらけになる
3.水が濁る、クサイ臭いがする。

初心者の人達が飼育を始めてすぐにぶつかる問題点は、だいたい上記の3点に集約されると考えられます。
「1」についてはペ-ハ-ショックも一因と考えられ、この場合は、水合わせを理解してもらえれば解決します。病気が発生しやすいのは、環境の変化、購入したお店の水質より劣化した水質環境になった場合の発症が考えられます。
  ここで重要な事実があります。それは、水槽の魚達は、毎日その水槽の水を体内に取り込む、水を飲んでいる事です。大腸菌や腐敗菌のウヨウヨしている水質の劣化した水を飲めば魚だって生物なのですから調子を崩すのは当然なのです。
  そんな病原菌がどうして水槽に入ってくるのか疑問に思う人もいるでしょう。簡単に証明できます。コップにミネラルウオ-タ-と牛乳を入れて、一日放置すると牛乳は品質劣化、腐ります。ミネラルウオ-タ-は腐りません。牛乳は栄養豊富ですから雑菌や病原菌、カビなどが、空気中から侵入し、その栄養分で繁殖するからです。限られた水量の水槽で魚を飼育するのは、水の富栄養価が進行することになるのです。
 そして、水槽にエア-レ-ションなどで空気を送り込むのは、空気中に漂う雑菌を積極的に水槽に送り込む事と同じです。
 水の富栄養価が、海水でおこると、赤潮の発生原因になります。実際のアクアリュ-ム水槽では、エサの過剰な投与で発生する残飼、魚を過密に飼育した場合の魚の排泄物などが主たる原因であり、生物濾過とは、バクテリアによる栄養分の分解ですから濾過システムが正常に作動していれば、牛乳状態をミネラルウオ-タ-に戻すことになるのです。
「2」「3」についても、飼育水の富栄養価状態が原因です。魚を飼育する諸問題は、全て水質に起因しているのです。そして水質は、濾過バクテリアの質と濾過器の水を循環させる能力、それに使用する濾材の質と複雑に関係してきます。

Q 8:B-4誕生
A 8:私達も熱帯魚の飼育に関しては、30年以上の経験があります。当然1人のマニアとしてグッピ-から始まり、数多くの魚種を飼育し繁殖も成功させました。その飼育経験のなかから、簡単に確実に魚を飼育し、観賞を楽しみたいとの願いがありました。そして社会経験を得て、生物学者、細菌学者、製薬研究者など、多くの協力者を得ることが出来ました。そして、彼らの善意の協力があって飼育水槽に最も適した生物濾過用のバクテリ【B-4】が考えだされました。そして長期実験がスタ-トしたのです。  最初は、スタッフ各自の水槽から実験はスタ-トしました。驚くべき発見もありましたが、同時に克服すべき問題点も見つかりました。そして一歩づつ壁を乗り越え最終段階のテストが繰り返されました。そしてフィル-ドテストが始まりました。私達の会社から30分以内で訪問できるプロショップで、実際に販売用の魚が泳ぐ水槽でテストしました。そして、徐々に遠方のプロショップに拡大して、それぞれ条件の異なる水槽でB-4を投入し、デ-タ-を集積しました。   実験に参加、協力していただいたプロショップの皆さんからは、「早く製品化してほしい」「これは、画期的です」「店でも使用するので早く商品化してください」「お客さんに早く使わせたい」などの多くの声をいただきました。あるプロショップの店長さんは、実験中に水質テストで試薬の反応を確認したら、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩の有害物質の3種類とも反応ゼロのために、試薬が古いからじゃないですか?と言って、お店の売り物の新品の試薬で再度テスト、しかし結果は当然の反応ゼロで驚くよりも感動していました。(ちなみに広告に登場してもらったショップです)それからもテストは続行されました。それには理由がありました。

Q 9:本当にそれでいいのか?
A 9:私達が実際のプロショップで長期間にテストを繰り返し、さまざまな飼育条件下でデ-タ-を集めたのは理由がありました。それは、従来の市販されているアクアリュ-ム用の生物濾過に使用するバクテリア製品は、使用量が水槽の大きさ(水量)により使用量が規定されていました。
  しかし、現実的には、水槽が同じ大きさでも飼育している魚の種類も匹数も全員が同じとは、到底考えられません。皆さんそれぞれが違うはずです。ピラニアのような肉食魚もいればグッピ-やディスカスの飼育人もいる訳です。当然飼育している魚の大きさや匹数が違えば与えるエサの量も質も違うのは当然です。
 B-4を世に出そうと考えていた私達には、これは本当に大きな壁でした。
私達は同じマニアとして、決してウソは言わない。必ず結果が出せるもの。絶対に安全なもの。この三つだけはどんな事があっても購入してもらったマニアにも販売してもらったショップの皆さんにも約束したいと、考えたからです。
 そのため製品の取り扱い説明書は、使用量については、飼育している皆さんに決めてもらいます、と書くことにしました。分からなければ電話をくださいとも、広告に書きました。これは、私達が企業の理念として尊敬するドイツのエンデル社の製品、ネクトンの取り扱い説明書にならいました。そして問い合わせをいただくアクアリストの皆さんにも適切なアドバイスができるデ-タ-が集積されていったのです。

Q 10:B-4登場
A 10:B-4を製品化し、その実力をアクアリストの皆さんに問う日がきました。
 B-4にはいくつかの理念があります。

1.子供達が口にいれても100%安全なバクテリアである事。なぜなら人間が口に入れられないようなモノは決して水槽にも良い影響は与えないものです。
2.初心者でも経験者でも簡単に使用でき、だれでもが確実に効果が得られる事。
3.販売していただいたショップの方々、購入していただいた皆さんの質問に科学的な説明を正確にできる事。
4.その効果が眼で確認できる事。

 以上の条件を全てクリア-できます。「1」については、小動物からスタ-トしてかなりの量を最終的にはスタッフとその関係者で安全を確認しました。実際に製品販売後小さなお子さんが口に入れたけど大丈夫ですか?との問い合わせが2件ありましたが、全く問題ありませんでした。この事は、発売前に御協力いただいた細菌学者の皆さんからも絶対安全の保障はいただいていましたので確信がありました。
 B-4の効果は、ハッキリと眼で確認することができます。魚達の排泄物が完全に分解処理されるため、水槽に排泄物が残留しません。外部濾過器のホ-スに汚れが付着しにくくなります。ガラス面のコケの付着量が激減します。照明量と時間が同じならB-4使用水槽のコケの付着が色も量も違うのが判断できます。水のニオイが全く無くなります。水に透明性が戻ります。この事について科学的に説明します。

Q 11:どうして排泄物は完全分解されるのか?
A 11:魚の排泄物の成分は、タンパク質、繊維質、炭水化物でほとんどが構成されています。B-4のバクテリア群は、これをエサにして増殖していきます。どんどんと食べる訳です。そのために残留しないのです。同時にアンモニアを亜硝酸に変換しないで空気中に直接放出していきます。亜硝酸も分解していきます。その為にペ-ハ-数値は低下しなくなります。硝酸塩についても一番の材料であるアンモニアが発生しなくなるので、どんどん減少していき、約3週間後には試薬反応が消えます。

Q 12:どうして水は透明性が高くなるのか?
A 12:この事は重要です。B-4バクテリアが増殖すると、こんどはB-4バクテリアをエサにする生物群が現れます。食物連鎖の始まりです。
 この生物群は後生生物とか後生動物とか呼ばれる一群です。彼らは、B-4バクテリアも補食しますが、水槽中に多数いる大腸菌とかブドウ球菌なども補食し始めます。そして食物連鎖は進行して行きます。.
  こんどは、バクテリアの中でも大きな鞭毛虫(べんもうちゅう)とか繊毛虫(せんもうちゅう)などを補食するグル-プが現れます。鞭毛虫には水を白濁させ臭いニオイを発生させるモナス菌、ディスカスのエラ病の原因になるキロドネラなどを食べてくれる生物です。その結果雑菌は減少し、水は透明性が高くなり臭いニオイも無くなるのです。だから病気が出にくくなるのです。
 そして、この食物連鎖は進行していきます。最終的にはミジンコが水槽内で確認できるはずです。なぜなら微生物世界の頂点にいるのがミジンコなのです。そして自然界では、このミジンコをエサにして魚の子供たちは成長するのです。  この自然界の生命の誕生と成長不可欠な食物連鎖サイクルがB-4を使用すれ事で、人工的に創られた水槽の中で、だれもが簡単に再現する事ができるのです。

Q 13:B-4、その能力を完全に引き出すために
A 13:前にも述べましたが、生物濾過については、実に複雑な要素が絡み合ってきます。簡単に濾過システムと言っても幾つかの方法があります。しかし、基本は、共通です。
その水槽の水を一時間に何回濾過器に循環させられるかこれが基本です。私達の実験デ-タ-を基に推測すると、淡水の観賞魚水槽で1時間5回転以上、観賞用海水魚水槽では、6回転以上、料理店などの生け簀水槽では、8回転以上最低でも濾過器に循環させないと問題が生じると考えています。
 しかし、濾過器の内部に使用する濾材の質にも大きく影響されてきます。
濾材は、簡単に表現すると、濾過バクテリアの高層マンションのようなものです。バクテリアは増殖すると集合し、バクテリアフィルムを形成するのが一般的ですが、水中を漂いながら定着場所を探すタイプもあります。そして、彼らは水槽と濾過器を循環しながら定着していくのです。B-4の能力を十分に引き出せる濾材についても入手できる限りの濾材をテストしました。結論から申しますと一番は、通水性能が高い事です。

Q 14:濾過材の適性
A 14:B-4を投上手に魚を飼育するポイントは、観賞魚飼育に適したバクテリアと、それにマッチした濾材を使用する事が重要なコツである事は理解していただいたと思います。濾材については、すでに3年以上実験を繰り返し行なっていますのである程度結論は出せると考えています。
1.「通水性能」
  これは、濾材の中まで水が流れて、通過するかどうかです。
  簡単にテストする方法は、乾燥した状態で手のひらに少量の水を乗せ、そこに濾材を置きます。3~5秒で水が中に吸い込まれれば第一段階はクリア-リング状の濾材であれば後の穴を指でふさぎ、口から空気を吹き込み、吸い込まれた水が吹き出せば通水性能は優秀です。水がポタポタ滴れたり空気が吹き込めないのは通水性に欠けます。
 どうして通水性能が重視されるかについては、濾材表面だけにバクテリアを付着させるのではなく、内部にも付着させます。バクテリアコロニ-が形成されるのですが、表面の水量と内部の通過水量は当然異なります。
 外部は早く、内部はゆっくりと流れます。当然バクテリアの付着量も異なりますが、短時間で処理ができます。むしろ、最大のメリットは通水性能が高い濾材は少量で済むためにメンテナンスが非常に楽になる事です。

 この事は実験で簡単に立証できました。同程度の形状(リング状)の濾材、当然材質はことなるのですが、ドイツ製のガラス素材のものと、サイエンス・プロ、セラミック製で表面はデコボコで内側はツルツルの物表面も内側もツルツルのタイプを同一条件でテストしました。
アンモニア等の有害物質の反応が早く消えたのは、ドイツ製濾材とサイエンス・プロで差異はほとんど無し、次に表面デコボコタイプ、ツルツルのタイプの順番になりました。

※テスト方法
 同じ大きさの90㎝水槽に同一メ-カ-の同一タイプの外部濾過器にセットされているスポンジ形状の濾材を2枚外し、テストする濾材各1リットルと表記されているものを入れディスカの同一日に産卵、成長した個体、約10㎝程度を各10匹投入しセットした日にB-4を正確に各1g投入する。翌日も同数量のB-4投入。セットしたその日から1回に10クラムのハンバ-グを1日3回与え、アンモニア、亜硝酸濃度を測定しました。14日間4本の水槽を同時刻に採取し、同一の試薬を使用して残留濃度を測定しました。

2.「形状と材質」
 濾材はその濾材に付着したバクテリアにより魚にとって有害な物質を無害化する事は理解していただけたと思います。当然その循環システムにより適した濾材が必要です。底面濾過の場合は大磯砂を使用して濾過しますがエア-リフト式の為に循環スピ-ドが遅く、60㎝水槽までが無難です。ちなみに、ヘラのようなモノで毎日一度ジャリをさらうとバクテリアの付着面が替わり、付着量が殖えますから濾過能力は向上します。  60㎝水槽までなら飼育匹数にもよりますがメインとして使用するのは、エア-リフト式濾過器(投げ込み式、底面、スポンジ式)であれば、別の種類の組合せで複数使用(例 スポンジ式+投げ込み式)する方法がお薦めです。投げ込み式の場合は、フィルタ-の交換の頻度が上がるとランニングコストが上昇するのが難点ですが、管理は容易です。スポンジ式も使用が簡単でランニングコストも低く使い易い濾過器です。最低2ヵ月に1度は、お湯で洗浄すると濾過能力が回復します。大磯砂を使用する底面濾過の場合は、換水する時にジャリも洗浄するホ-スを使うと便利です。ただ全換水はやめた方が無難です。
 この3点の濾過システムは、小型水槽には便利です。しかし、それ以上の大きな水槽では、補助システムと考えて下さい。
 大型水槽では、オバ-フロ-、外部濾過器、上部濾過器の3システムが現在のところ考えられています。この場合は、必ず濾材が必要です。
 形状としては、幾つかのデザインがありますが、リング状のタイプ、玉状コンペイトウのような形状、各デザインを実際にテストしました。
 リング状の濾材は、横から見ると樽のような形状で中に穴が空いています材質も各種ありますが、基本的にはセラミックが多いようです。この場合は、通水性能と強度が判定の一つの基準になります。
 通水性能が良くても強度が弱いと耐久性能が低くなり、定期的に量を補充する事が必要です。逆に強度があっても通水性能が低い場合は、その分、量を増やす必要があります。そうすると濾過器の容量一杯に入れると今度は、メンテナンスに時間がかかります。
 材質も重要です。赤土を焼いたような物から発泡コンクリ-ト、石灰質の土を素材に使用したもの、あるいはガラスを繊維状に加工しリング状にしたもの、特殊なセラミック素材のもの各種あります。

 結論から申し上げればサイエンス・プロが通水性と耐久性能では、一番で3年を経過しても崩れていません。酸とアルカリにも耐久性があるようです。特にガラス質だと酸とアルカリには全く問題ないのですが、素材が土系の場合は、弱酸性が続くと形状の損壊が進むようです。いづれの材質の濾材も最低3ヵ月1度程度はお湯で洗浄して下さい。
 くれぐれも水槽の水なんかで濾材の洗浄はしなで下さい。なぜなら、水槽の水には濾過バクテリアだけではなく雑菌も沢山いるのです。洗浄の意味がありません。濾材を洗浄したら入する事で良質な濾過細菌が圧倒的に増殖するのですから。

Q 15:濾過システムと濾材に関する結論
A 15:濾過細菌と濾材との関係もある程度ご理解いただけたと思います。良質の濾過細菌を出来るだけ多く付着させられ、通水性能の高い濾材とB-4のような濾過バクテリアを使用すれば大切な魚達を上手に長く飼育でき、メンテナンスの手間もそれ程必要なくなるのです。
 飼育コストを考えるとディスカスやアロワナのようなある程度(90㎝以上の水槽)の大きさの必要な水槽で飼育する魚は、最初から濾過システムに対する予算は少々予算をオ-バ-しても、2系統の濾過システムを設計するべきです。そして、濾材についても、価格で判断せずに質と耐久性能を判断基準にしてください。
  魚にこだわりを持つなら飼育システムにもこだわって下さい。

Q 16:B-4の適正な使用方法とは?
A 16:ここまで読み進められた皆さんは、一つの疑問をお持ちになるかも知れません。それは、優秀な濾過器と濾材、B-4を使用すれば換水もしなくてOKなのですか?この問い合わせも多い質問です。
  結論から申し上げれば換水は必ず定期的にして下さい。何故なら、B-4は色素まで分解できません。換水しないと、水が茶色くなります。これは魚のフンやエサの色素が水に溶け込むために発生してきます。
 そして、新しい水を水槽に入れる事で生物学的に考察すると新しい命が入ってくるからです。それは、ミネラルなどの微量元素の他にミジンコのタマゴなどが換水によって水槽にもたらされるのです。
  B-4にはミジンコのタマゴが入っているのですか?との質問がありましたが、入っていません。ミジンコのタマゴなど販売しているのかどうか見当もつきません。ミジンコのタマゴについて説明しますと、ミジンコは水質が悪化すると赤い色素を持ち、殻の非常に硬いタマゴを産みだします。この硬い殻に包まれた小さな命は、水が干上がっても生きています。そして風が吹くと砂ぼこりと共に巻き上げられ移動します。そして新しい場所に移動して、水質が発生に適していれば殻を脱ぎ捨て活動を開始するのです。
 普通の水道水にも硬い殻の状態で見つけられますし、風の入る家で水槽の水質が発生に適していれば(自然に限りなく近い水質であれば)ミジンコは確認できます。
 ミジンコは、私達の眼で確認できる大きさですが、水槽の中では、ミクロの闘いが微生物によって繰り広げられています。B-4がいかに優秀な濾過バクテリアであっても、水槽には毎日エアレ-ションによって空気中から多くのバクテリアが侵入し、そしてエサを与える人間の指先から確実に侵入してきます。侵入したバクテリアの多くは無害な種類が多いのですが、中にはロクでもない種類も確実に侵入してきます。そして増殖します。
 定期的な換水は、これらの雑菌と共にB-4も排出する結果になりますが、その後にB-4を追加で投入する事で水槽の中は善玉バクテリアが圧倒的な支配力を持つことになります。パラパラと水面の上から振りかけるだけで!
 次に何故定期的な換水が重要な意味を持つのか?その事について私達の考えを明らかにします。換水する事で確実に魚に一つの刺激を与える事が出来ます。それは、人間に例えて申し上げれば、アナタが完全空調の快適な海辺のホテル(別に森の中のホテルでもいいよ!)に宿泊したとします。その部屋は温度も湿度も快適に調整されていても、窓を開けて自然の外の空気を入れることで、アナタはきっと爽快な気分になれるはずです。
 常に一定の温度で管理された水槽に1~2度異なる新しい水が入ってくる事で魚達は刺激を受け、それが発色衝動や産卵衝動の引き金になると考えるからです。
 前にも書いたように熱帯アマゾンの雨期と乾期は、まるで水温も水質も異なり、その変化の境目が魚達の繁殖行動に関係している事を認識してください。