アクアリューム ②

アクアリュ-ム基礎講座 ② クリスタルレッドビーシュリンプ飼育講座

このコ-ナ-は、実際にB-4を使用して飼育したらどうなるか?検証する、実験するコ-ナ-です。今回は、一般のマニアの皆さんから最近お問い合わせ急増のクリスタル・レッドシュリンプを取り上げます。この小さな宝石のようなエビは、幾つかの飼育ポイントがあります。

B-4使えばこんなに増えるぞ! クリスタル・レッドシュリンプ編Ⅰ
写真は、孵化後ほぼ4週間の個体。
生まれたばかりのものは、1~2mmほど。
成長すると10mm~12mm。


Q 1:飼育の際の注意点
A 1:自分の飼育水槽に移す前に確実に水合わせと、水温を合わせる事、点滴の要領で水合わせをすると完璧です。
繁殖を狙うなら最低10匹は、購入するべきです。

Q 2:水槽サイズと濾過システム
A 2:水槽のサイズは、大きければ大きいほど、水質、水温とも安定するので90㎝サイズがお薦めです。
 濾過システムは、基本的に2系統用意して下さい。
外部濾過器と上部濾過器を使用する場合は、吸い込み部分にスポンジフィルタ-を必ず装着して下さい。幼エビが吸い込まれてしまいます。
もう一つの濾過システムは、スポンジフィルタ-が最適です。

Q 3:水槽形態と水槽の中に入れるもの
A 3:ベアタンクがお薦めです。ベアタンクとは、水槽の底になにも敷かないでそのまんまの水槽形態です。それじゃ~味気ないョとお考えなら、小型のキュ-ブ水槽の中に砂を敷いて、水草を植込で下さい。そして、必ず流木を入れてください。南米ウィロ-モスが巻き付けてあるものが最適ですが、流木だけのもの、アヌビアス・ナナ(写真参照)が植え込んであるものなどお好みで。


Q 4:水質と水温
A 4:当社の実験水槽で実験しました。下限温度は、水温15度、上限温度30度が危険水温域のようですね。これ以下かこれ以上の水温域ですと脱皮不全が多発する前にクルクル回って死んじゃいます。ベスト水温域は、25~26度です。
 水質については、ペ-ハ-7~7.5程度が繁殖、成長率が安定します。弱アルカリ水質で何の問題点もありませんでした。弱酸性を好むとかの話の根拠はなんですかね?むしろ実験水槽では、ペ-ハ-6を下回ると脱皮不全が増加します。
B-4使用しているとペ-ハ-が弱アルカリ質で安定しますから結果良好です。

Q 5:エサについて
A 5:某雑誌には、イトメとか冷凍アカムシを与えると成長が早いと書いてました。早速、ホンマカイナと実験しましたが、私達が与えている人口飼料(タブス)と大差ありませんでした。確実に成長が早くなった飼料はありませんでした。むしろある程度成長した個体は、人口飼料でもアカムシでも食べてくれますが、親から離脱した幼生個体の食べているものの方が謎でした。
 手間の係らない人口飼料で十分です。特にシュリンプをアクセサリ-的に水槽で他の魚と飼育するのであれば、特別に与える必要はないと考えます。

Q 6:幼体の生態
A 6:このエビは、アメリカザリガニと産卵形態が似ています。メスの尻尾の部分に卵を抱えます。最初は黄色味のかかった色がだんだん黒く成熟してきます。
孵化した幼体は、しばらく母親の尻尾にとどまり、ある程度動けるようになると離れていきます。そして、流木の亀裂や穴、柔らかい水草の奥に身を隠します。
 この時にエサは何を食べているのか?体長1㎜前後の幼体を顕微鏡で確認すると、輪虫類の「リカネ」「コルレラ」、有殻アメ-バ-の「セントロピキシス」などの微生物が確認できました。これは予測通りでした。私達の実験水槽では、換水を定期的に行い、B-4をそのとき少量投入しています。当然水槽内では、食物連鎖が、進行します。その結果としてミジンコが発生し、親エビが補食しているのを確認していますから、その生物濾過の副産物である微生物を幼体が補食し、成長するのが確認できました。恐らく、流木に付着したB-4バクテリア群を補食する輪虫や有殻アメ-バ-(タニシの祖先だよ)を幼体はエサに成長し、ある程度の大きさに成長すると、出てきて他のエサも食べだすと考えられます。幼体の消化器官から確認できたものは、流木のものと思われる繊維質も確認でき、流木も親エビと同じようにかじっているんですね。

Q 7:換水サイクル
A 7:エビ(甲殻類)は、温度と水質には非常にデリケ-トです。温度管理は、夏場が水温上昇で厄介です。上手にコントロ-ルしないと一日で全滅もありえます。この小さなエビ達は、多量のフンをします。白い洗面器に5~6匹入れて観察するといかに凄まじくウンコをするか理解できます。このウンコが難儀なんですな~
 ウンコを多量に出されると当然アンモニア濃度が急上昇します。アンモニアは水温が上昇すると活性しますから、エビはコロリと死にますね。こんな悲劇を防止するには、濾過システムを増設するか、換水を頻繁にするか、B-4をパラパラとエサがわりに入れるか、どれかしかありませんね。
ちなみにパピエの実験水槽を公開すると以下の状況です。

水槽サイズ
90㎝×45㎝×45㎝
濾過システム
A社製外部濾過器(内部のスポンジ2枚抜いて濾材は、別にサイエンスプロを2リットルを入れている。)吸い込み部分にスポンジフィルタ-装着
収容数
クリスタルレッドシュリンプ他、推定400~500匹
換水サイクル
定期的、1週間から2週間に1度約8リットル~10リットル流木を3個入れてあるため、水が流木により茶色ぽくなる。
色が濃くなりだすと交換。(実験水槽が複数の為)
B-4は、毎日エサみたいに1回に約0、2~0、3グラム入れている水槽もあります。その他は換水毎に約0、5グラム

60㎝水槽でエビの収容数が50匹以下なら1週間に1度程度約10リットル換水して、B-4パラパラと振りかければ大丈夫です。新発見あったら連絡まってます。次回はエビと水草の関係について報告します。



B-4使えばこんなに増えるぞ! クリスタル・レッドシュリンプ編Ⅱ
<< エビと水草の関係について考える >>

クリスタル・レッドシュリンプ飼育実験報告
このⅠ号タンクの実験目的は、繁殖スピ-ドと体色遺伝の実証実験であるが、具体的には、メ-ル、電話での質問項目の多い下記の疑問の解明である。

Ⅰ号実験タンクでのレッドシュリンプ繁殖、体色遺伝実験。

<< 飼育環境 >>
■ 設定条件
水温 24度±1度  水槽サイズ 90×45×45
濾過システム エ-ハイム社 エコフィルタ-タイプ2235 1基中のスポンジフィルタ-を2個取出し、サイエンス・プロ1リットルサンドイッチ状に投入。吸水部分にスポンジフィルタ-装着

■ 水槽内容
流木にアヌビアス・ナナを活着させたもの1点
南米ウィロ-モスを活着させたもの3点合計4点の流木
基本的に底床無し!観察が容易な為と別の目的があるため、 直径15㎝のガラス製灰皿に川砂を敷き沈めてある。

■ メンテナンス
換水は1週間に1度、約12~14リットル換水する。
最初に約6リットル水を抜き、抜いた水量分を水槽に給水する。
もう一度同じ事をする。一度に約12リットル換水せずに2度に 分けて換水する。カルキ抜きにアクアボン規定量投入。 換水終了後B-4約0、2グラム程度を水面から投入。 10日に一度アクアバイタル規定量の2倍投入する。

<< よくある質問・回答 >>

Q 1:稚エビは何を補食しているのか?
A 1:これは、生まれて泳ぎだした稚エビの尻尾の部分、人間では腸に相当する器官と、腹部の胃に相当する器官を解剖して、顕微鏡で観察、解明しました。
写真が掲載出来ないのは残念ですが、(光学カメラなら写せるけどデジカメ対応不可なもので、近々接写可能なデジカメ購入予定、)解剖キットのピンを使いガラス板の上で分離、拡大して観察すると、原生生物と植物プランクトンが確認できました。
これは、推測ですが流木や水槽のガラス面に付着したバクテリアコロニ-に発生する微生物を補食しているのだと思います。
実験水槽群でB-4を使用しているグル-プでは、明らかにメスの抱卵数(個体ではなく一匹当りが抱える卵の数)が増加しているのが目視で確認できます。
これは、関連があると考えられます。エサが豊富な環境で飼育すれば当然、生物は繁栄していくからです。恐らくB-4を投入することで水槽の中で食物連鎖、B-4→B-4バクテリアを補食する一次原生生物の増加→それを補食して増殖する二次原生生物の増加→二次原生生物を補食して増殖する三次生物の増加、大別すると三次生物群はミジンコなどが含まれるのですが、このような自然界で発生する食物連鎖が水槽内でも発生しているのだと考えられます。つまり繁殖しやすい環境なのです。
別の実験水槽では、ソイル、大磯砂を底床に使用して実験していますが、成長スピ-ドと増殖スピ-ドに明らかに差異が発生しています。底床を使用している実験水槽群ではベアタンクと比べて成長も増殖も早いのですが、これは、このエビを観察すると常に前脚を動かして補食行動をしています。これは、ソイルや大磯砂に付着している微生物を補食している事が今回の解剖結果で証明できました。植物プランクトンに関しては水草に付着していたものと考える方が整合性があります。
ちなみに親エビはミジンコを補食しているのが観察できました。

Q 2:死亡率を低減させるには?
A 2:これは、全ての水棲生物に当てはまるのですが、やはり水質です。基本的に水質の劣化は致命的です。このエビを別の容器に移し、アンモニア濃度の高い飼育水をゆっくりと添加していくと徐々に活動が鈍くなり横たわります。いきなりアンモニア、亜硝酸濃度の濃い飼育水に入れるとクルクルと回って死んでしまいます。
甲殻類はアンモニア濃度には敏感です。
この小型の甲殻類は、常に補食行動し、その分排泄をしていますから水質の劣化スピ-ドは想像以上に早いのです。それ故キチットした生物濾過システムは必要です。
実験水槽は全てエ-ハイム社の外部濾過器を使用しています。理由は水槽の飼育水の循環スピ-ドが早い事、まったく無音である事、メンテナンスが簡単な事が理由です。
この外部濾過器に濾材はサイエンス・プロを1リットル入れてあるだけです。
実験水槽Ⅰ号は、なんと一年以上メンテナンスしていません。水質試験をしてもまったく問題ない水質が維持できているからです。どの時点で限界がくるかテスト中です。 テトラ社のアクアバイタルも確実に効果があるようです。少なくとも脱皮不全で死亡する個体は激減します。これは恐らくビタミンB群に起因すると考えられます。 ビタミンB群は粘膜代謝に関係するビタミンだからです。
話は代わりますが、魚を飼育していて水あわせ、換水でペ-ハ-値が2以上変動するとペ-ハ-ショックを起こしますが、アクアバイタル、もしくはアクアセ-フを規定量の2~3倍投入すると復活する事があります。ペ-ハ-ショックはそのまま放置すると死ぬ場合が多いので覚えておくと便利です。
水質の維持には換水時にB-4当然入れてます。バクテリアが放出された後の担体物質を補食しています。後はエサなんですが、実験水槽では各種のエサを与えて実験しています。
基本は、ビタ-クラフト社のタブスです。元々はプレコやコリドラスのエサなんですが、投入後しばらくすると崩れてそれにエビが群がって食べてます。

Q 3:水質と体色の関係
A 3:これは、確実に関係しています。今までの実験で、最初は鮮やかな赤と白のコントラストの個体が成長するほどにコントラストが鮮明ではなくなってくる個体が多いのです。
遺伝的な要因かどうかは引き続き実験中ですが、一般に弱酸性水質では色鮮やかな個体が輩出する傾向です。ソイルを底床とし、ナチュレピ-トをリシアスト-ンに括り付けて沈めてある実験水槽Ⅲ号はペ-ハ-値6、5なのですが体色の後退が少ないようです。
ただし、水質が弱酸性のグル-プは弱アリカリの水質グル-プに比較すると繁殖スピ-ドと生存率はやや低い傾向が見られます。
ペ-ハ-値の下限ですが5以下になると危険水質に突入したと考えて差し支えありません。これについては引き続き実験していきます。

Q 4:繁殖率の向上条件
A 4:このエビを飼育している皆さんで観察力の鋭い人は共食いに気付くはずです。特に脱皮直後のソフトシェル状態の個体が犠牲になる確立が高いのです。
これは、飼育密度に比例します。多くのブリ-ダ-が飼育密度がある一定の割合に到達すると猛烈な共食い現象により2~3日で半減すると証言しています。
これについては実験中ですから、軽々とコメントできないのですが。エサ不足だけでは説明できない現象です。密度があるラインを越えるとストレス反応が発生するのかもしれません。しかし、抱卵している卵の数と稚エビの数は必ずしも一致しません。
恐らく孵化してしばらくは母エビのお腹にぶら下っていた稚エビが独立したとたんに他のエビに補食されていると考える方が合理的です。
それを防止するには、なるべく多くの稚エビの隠れ場所をつくる事です。
流木に南米ウィロ-モスを活着させたものやウオ-タ-スプライトなどの水上葉の水草を投入する事でかなり有効です。流木を幾つか入れておくだけでも差が出ました。
当然実験水槽ではB-4を使用して、食物連鎖を発生させています。
魚と同居させるなら小型のカラシン類がお薦めです。グリ-ンネオン、ディ-プレッドホタルなどの成長しても3㎝未満の魚は補食できません。でも水草と流木は必須アイテムです。ディスカスやエンゼルフィッシュはエビが大好物です。中型のコリドラスも補食するのを確認していますからヤメた方が無難です。